シスコブルース(2) Good ByeはいらないAA128便は、サンヨセ空港に着く。 低い山の上には入道雲をつぶしたような雲が浮いている 成田を出たのは27日の17:20、 サンヨセに着いたのは27日の10:30 日付変更線のマジック。時差は−16時間(夏時間) 到着ゲートは田舎町の鉄道の駅のような平屋の建物。 売店も両替所もない。 AA(アメリカンエアライン)の送迎バスでサンフランシスコへ向かう。 運転手は日本人らしい。 「サンフランシスコのダウンタウンまで、フリーウェーを通って大体1時間です。」 「フリーウェーはスピードの制限がなくて、信号がなくて、無料で誰でもが走れるから フリーウェーなんですから」 松任谷由実まだ荒井由美だったか、伸びやかな声で歌った(中央フリーウェー)は (中央有料道路)でしかないのだ。 「事故の処理も早いです。日本みたいに警察が道幅をはっかったりなんてしません。 そんなものはからなくてもわかってます。こちらでは赤信号で突っ込んだって、 そんなこと言いません。自分の非は絶対に認めません。 あとは保険会社同士の交渉で決まります。」 アメリカカルチャーについて面白い話が聞けるかと思っていたら、 「フリーウェーに入りますので、ここからはドライブに専念します。」 ダウンタウンに着いた。ダウンタウンというのは、浅草、通天閣。 庶民の活気あふれる下町のことかと思うと、サンフランシスコではちょっと違う。 海に近い平地は、官公庁、銀行、ホテル、高級商店街がしめ、庶民は丘を削った 斜面に住み着きサンフランシスコの町はできたらしい。 AAの推薦するホテルの前にバスはついた。 両替はここでできるかと運転手に聞いたら、 「ホテルは泊まっている人しかできない。3つめの信号を渡るとワールドハンティング があります。その隣りにあります。」 ワールドハンティングはすぐにわかったのだが、隣りの両替店がわからない。 しばらく行くと銀行がある。銀行なら両替してくれるだろうと入ってみる。 駅の切符売り場みたいな小さな窓が並んでいる。 「両替をしたいんですがとTC(トラベラーズチェック)からキャシュにできますか」 「Oh−」とヒンギズ似のお嬢さんが窓口から消えてしまった。 僕の英語では通用しないのかと思ったら、カードが1枚出てきた。 そして「1ブロック」と一言。どうも銀行では両替をしてくれないらしい。 THOMAS COOKへの地図。すぐ近くだったんだがいきすぎたり戻ったり 小さな事務所だった。電話をかけたいからと$20、両替してもらう。 今度は公衆電話を見つけなければ。デパートにはない。何故。 ワールドハンティングの、日本人の女店員さんが 「左に出た大通にあります。」 ペンションSへ電話。 「どこから電話ですか」 「xx銀行の大通側ですが」 「通りの名前がわからないと」 「交差点には OFarrellと書いてありますが」 「すぐに迎えにいきますから、絶対に動かないで下さい。」 ところが30分を近くなっても迎えはこない。 痺れを切らしてもう一度電話をかける。 「一体どこにいるんですか、どこさがしてもいないから、もう帰るといってますよ。」 「どこって?」 「絶対に動かないでといったでしょう」 「ずっと同じところにいましたけど。」 「だったらなんで見つからないですか」 「そんなことはわからない。だったらもういい他をあたるから」 空は青いし、おなかは空いた。 なんとかなるさと交差点を渡りかけた時、 「ペンションS」と後ろから黒人の男が追いかけてきた。 どう状況を説明しようかと口ごっもっていると、車に乗れという。 ランクルのような車の助手席へ。 男の携帯電話が鳴る。もれてくる単語を綴ると どうも状況は変わっていないらしい。 車は坂を登っていく、中国語の看板が見える。日本人会館がある。 向こうの通りにトロリーバスが走っている。 そして車はなだらかな坂を下って行く。 同じような家が並ぶ住宅街。男はその内の一軒を指差し 「ペンションS」という。何の看板も出ていない。 止まるのかと思ったら車はそのまま通りすぎて、左に折れる 急に展望が開けて、「Ocean」と男は一言。 どこまでも続く広い海岸。 車は元の道。ペンションsへ "Just a moment" 男は家の中に、入れ替わって 貧相な顔に、頬の紅だけが浮出た女がポーチの階段を下りてきた。 まちがいなく日本人の顔。 「結局泊まるんですか」 「彼が追いかけてきてくれたから」 値踏みをするように僕を見つめて 「相部屋になりますよ。よろしいですか」 「じゃ、いい」 「泊まるということですか」 「泊まらないということ」 あなたは日本人じゃない。と叫び出しそうになる。 ここはどこだかわからない。 でも坂を登ろう、あの丘を越えよう。 Good Byeはいらない。
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