その5
「一、古へより詩といひ歌と、道の外に求むるにあらず。
然るに世の常、俳諧の文字に迷ひて、和歌に対したる名の道理を弁えず。
頓作当話の理(里)俗に落ちて、狂言綺語にのみ覚えたる人も有るべし。
是浅ましき事也」
一、俳諧と新しく申しましても
むかしから、中国では詩といい、この国では歌と申しましたものと
心根は変わるもんじゃありません、
言葉のかぐわしさ、気持ちの美しさ、励むところはおなじでございます
じゃあ、俳諧なんて名をなぜ使わせていただくかと申しますとね
この国には長く和歌ってもんがございましょ
これとの区別なんでございます
俳は和歌で詠われました古い変わらないものといっしょに、
今のありのまま、動き変わっていくものも良いものといたします
それを、俳と申しましたまでで
それを、なんというんでしょうかねぇ
当座の笑い話や、つまらぬ世間のあれこれを詠んで
奇をてらいましてね
笑っていただこう、ちょっとは人をおどろかしてやろう
てなふうに、それだけが俳諧だと思ってしまうかたもございます
つまらんことですよ
俳諧の心根がおわかりではないってことですからね、
そりゃあ、みっともないことです
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